解毒治療と症状の悪化防止


化学式から読み解いていくと、サリンは、有機リン系化合物の農薬や殺虫剤と同じ仲間になるそうです。 残留農薬の付着した食べ物を食べ続けたり、農薬まじりの空気を吸いこんだりして体の中に取り込んだ場合、 感受性の鋭い人は、ごく微量でも化学物質過敏症を発症するそうです。
化学式から読みとれる特徴として、サリンにはフッ素がついているため、いったん体内に取り込まれると、 他の毒物のように自然に体外に排出されることがないそうですが、有機リン毒物の人体への影響は共通することが多いようです。
化学物質による中毒の研究をした石川哲先生と宮田幹夫先生は、微量曝露で化学物質過敏症になることを以下の本で解説しています。

『化学物質過敏症ってどんな病気――からだから化学物質「農薬・食品添加物」を除去する健康回復法』(石川哲著、合同出版、1993年)

『化学物質過敏症――ここまできた診断・治療・予防法』(石川哲、宮田幹夫共著、かもがわ出版、1999年)

化学物質過敏症は、ごく微量の曝露を何回か繰り返すことで発症するのに対して、地下鉄サリン事件の被害者は、 1回だけ大量に曝露して健康被害が生じたという違いがありますが、症状についての解説を読むと、 これらの本に書いてあることと事件後経験してきた自分の症状の多くが重なります。

今の日本で、急性期以外の有機リン中毒の患者に解毒治療を勧めてくれる医療機関はほとんどないようです。 そのため、相談できるお医者さん探しを自分でするしかないというのが難しいところですが、 症状によっては、解毒でQOLを上げることができると知っておいてほしいと思います。
また、症状の悪化を抑えるためには、有機リン系の殺虫剤や難燃材などの影響を意識して避けることも 大事だということを私は経験的に学んできました。

身の周りの化学物質について知るには、以下のサイトが参考になりました。

環境汚染問題――私たちと子どもたちの未来のために

有機リン中毒による精神障害について知るには、以下のサイトにある論文も参考になります。

米国科学アカデミー
Evidence that mouse brain neuropathy target esterase is a lysophospholipase

Nature
Loss of neuropathy target esterase in mice links organophosphate exposure to hyperactivity